サッカリーの『虚栄の市』

イギリス版『戦争と平和』だ。世間の荒波を中産階級の視点で実に見事に描いている。ディケンズの小説を凌駕しているといっても過言ではないであろう。筆者は登場人物を公平に描いているので登場人物すべてがこの小説の主人公だ。岩波文庫全4巻という大作だが、ぐいぐいと読者を引きずり回す破壊力がある。2巻からナポレオンと戦争との関係が描かれているので我慢して2巻まで読むことをおすすめする。