2017-01-01から1年間の記事一覧

失われた時を求めて カフカとハルキとオペラ 5

ぼくは地下室ではなく、頭のなかに「黒い森」をこしらえることにした。いわば現実から遠く離れたところに身をおきたいのだ。「黒い森」はいわゆる「樹海」とは違う。ユングでいう普遍的無意識の世界だ。そこでは現実から離れて魂の充電をおこなう。いわば現…

失われた時を求めて カフカとハルキとオペラ 4

川村カフカにはクミコというガールフレンドがいる。クミコはイタコで過去に亡くなった人物と交流する霊媒術の能力者だった。亡くなったフランツ・カフカやレイモンドチャンドラーを霊媒術でよみがえらせたこともある。クミコは統合失調症を患っており、鬱病…

失われた時を求めて カフカとハルキとオペラ 3

レイモンドチャンドラーの『ロング・グッドバイ』を村上春樹訳で読み、フランツ・カフカの『城』を池内紀訳で読んでいる。「顔なし男」にはおほめの言葉をもらった。『ロング・グッドバイ』はむかし、映画で観たことがあるが、奇想天外ではらはらさせられた…

失われた時を探して2 沼津

沼津の町は田舎だ。ぼくは市立図書館に行ってキリスト教系の音楽を借りて自宅警備をするのが仕事だ。というか、ニートだ。クリスチャンであるので食種がそっち関係に動く。ネタはほとんど市立図書館で仕入れている。マルセル・プルーストとであったのも、市…

失われた時を探して

ニートであるぼくは失われた時を探す旅に出た。それはブルックナー交響曲と向き合うことによってぼく自身を見つめる旅だ。ぼくは統合失調症を患っていた。スワンは牧師でぼくの親友だった。神経衰弱を回復するために語学の勉強がいいと坂口安吾が言っていた…

マーラーの交響曲第5番

マーラーの交響曲第5番は妙なる調べを響かせている。トランペットの響きからはじまり、うねうねとユダヤ教の曼荼羅を表現しているようだ。マーラーの真骨頂ここにあり、と言わんばかりだ。これはもはや哲学だ。聴衆はこの妙なる調べを解き明かしていくしかな…

マーラーの交響曲第3番

マーラーの交響曲第3番の響きは、不可思議な光に包まれている。禅のリズムでとてつもなく繊細だ。曼荼羅や道元の『正法眼蔵』の世界観を現成させているようでならない。マーラーの神経的な苦悩を驚くべき密度で表現している。まるでお花畑を歩いているような…

マーラーの交響曲第2番

マーラーの交響曲第2番《復活》は西洋のキリスト教の「霊性」を含みながらも、ユダヤ教の「霊性」も含んでいる。私はこの曲をはじめて聴いた時、驚きを隠せなかった。とてつもない序曲にはじまり、聴衆をぐいぐいと引き寄せるとてつもない力を秘めている。曼…

マーラー交響曲第9番

マーラー交響曲第9番はとてもジューイッシュで東洋的な響きに満ち溢れている。私は魂を落ち着かせたいときにこの曲を聴くようにしている。特にバーンスタインの指揮はまるで魔法のようだ。繊細にして大胆。マーラーは楽器の特性をすみからすみまでわかってい…

ブルックナー交響曲第3番ピアノ番

ブルックナー交響曲第3番のピアノ版をきいている。これは私の好きなマーラーが編曲したものだ。オーケストラをピアノで聴く豊かさがつめこまれている。ブルックナー交響曲第3番は《ワーグナー》ともよばれていて、ワグネリアンが好きそうな曲だ。本家の交響…

音楽を文章化することは難しい。ブラームス交響曲第1番について。

もうすぐブルックナー全集、マーラー全集、ブラームス全集が友人から届く。楽しみでしかたがない。ブラームスは個人的に第1番交響曲が好きだ。小澤征爾指揮、サイトウ・キネン・オーケストラが奏でている。重苦しい第一楽章が意外と好みだ。 第4楽章が華やい…