ブルックナー交響曲第8番

 図書館で借りてきた朝比奈隆さんが指揮をしている盤でとても力強い。金管楽器の使い方が繊細になっている。大きなうねりとスケール感が魅力的な曲に仕上がっている。ブルックナーの音楽にはブルックナー開始とブルックナー休止とがありそれらが曲のアクセントになっている。ブルックナー開始とは、弦楽器のトレモロから始まることを表しており弦楽器がとろとろと音の粒たちがそろって演奏を開始することである。一方、ブルックナー休止とは、楽器全てがぴたっと休止することで場面展開を切り替える役割を果たしている。

 第一楽章では宇宙観を表すような表現と大自然を表すような表現が渾然一体となって音に現れている。

 第二楽章では教会の大伽藍を思い起こすような緻密で繊細な表現に感動させられた。特に弦楽器のトレモロの美しさは絶品である。

 第三楽章ではダイナミックに曲が展開し、弦楽器とホルンなどの金管楽器雄大に鳴り響いている。第四楽章のための助走を先取りするミュージックエスケープ(音楽が作り上げる空間)になっている。また、夕方の情景を美しく表したような曲調である。

 第四楽章ではこの曲の総決算的な意味でのフィナーレが繰り広げられている。特に金管楽器が主役的な役割を果たしている。

ブルックナーは教会のオルガニストでかつ敬虔なカトリックのクリスチャンだったので神様への畏敬の念が強かったことがブルックナー交響曲に現れている。そして、ブルックナーは同じリズムを繰り返すことが好きであったので、くどいし飽きてしまうかもしれないが、クラシックファンのあいだでは玄人好みでマニアックと評判が高い。